はじめおもしろき、やがて悲しき婚活レポート

「婚活したらすごかった」という本を読んだ。書店に平積みしてあり、帯もおもしろそうだった。仕事帰りの疲れた頭で読むのにちょうどいい。

読んでみると、はじめはおもしろかった。著者のはじめにつかみで読者を引きこもうという意図もあるのだろう。本に現れるエキセントリックな婚活している人たちと著者との絡みは面白い。だが、やがて読み進めていくうちに、そういう人たちの姿が悲しい、いたたまれない気持ちになってくる。

この本に出てくる婚活をする人たちは、みな結婚するため婚活に真剣だ。真剣なのだが、なぜかどこか滑稽でもある。婚活で着実にステップを踏んで、結婚していく人など書いても面白くない。そんな成功譚は結婚サービスの業者サイトやチラシにいくらでも載っている。婚活で苦しんでいる人やこれから苦しむかもしれない予備軍に共感を得られない。著者も意識して、真剣なのだけどどこかズレている人、頑張っているけどなぜか成果が出ない人を、著者自身の婚活も含めて取り上げて、暖かい目で分析している。

こんなにも真剣に婚活して思い悩んでいるのに、結婚できる人とできない人がいるのはどうしてだろう。私の職場も、理系の男ばかりなので、40代を過ぎて結婚願望があってもできない人がそれなりにいる。結婚できるかできないか、その理由は一つではない。どうすればよいのか、その答えも一つではないのだろう。個人レベルの回答もあれば、社会レベルの回答もある。個人が抱える問題はそれぞれだし、今という時代や社会の抱える問題もある。

いろいろと、はじめおもしろき、やがて悲しき、思うところの多い婚活レポート本だった。

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